【早同定期野球戦復活第12戦関連行事開催結果】
【早同定期野球戦復活第12戦記念特別講演会『同志社と早稲田』】
2025年3月22日(土)17時30分から同志社大学今出川キャンパス良心館地下2番教室にて、標題の講演会が開催され、早同両校野球部の現役部員、早同両校の校友や野球部OBなど計約250名の方々が聴講しました。
講演会は、同志社大学硬式野球部長の岡田幸宏同法学部教授が司会進行を務められ、概ね、下記のとおり進行されました。
1. 同志社未来創造プロジェクトリーダー横井和彦同経済学部教授による聖書の一節を引用した開会宣言
2. 学校法人同志社総長・理事長の八田英二先生からの開会あいさつ
同志社と早稲田のつながりに関していえば、私個人としてはかつて早稲田の奥島孝康先生からバトンを受け継いで、第7代高野連会長を務めることになったが、大学としては、1872年に新島襄先生の学校設立要望に対して、大隈重信先生が当時で1,000円の寄付を申し出たことから始まり、安部磯雄、大西祝(はじめ)、家永豊吉、浮田和民等の学究の同志社から東京専門学校への転任、1997年の国内で唯一の学生交換制度の創設など、非常に深い交流の歴史があることを説明されました。
3. メイン講師・望月詩史同志社大学法学部教授による「同志社と早稲田をつなぐ人々とその精神」
・本日は、同志社英学校卒業後の1891年に東京専門学校講師に転任した文学者・大西祝、1899年に東京専門学校講師に転任した政治学者・安部磯雄、同志社創設者の新島襄及び私の主たる研究対象である早稲田出身者の元首相・石橋湛山を中心に論じたい。
・新島は基督教主義に基づく自由、独立、自治を説いたが、その宗教についても自由思想を持っていたので、「何の宗教で無くてはならない等と云ふ様に一方に偏する事は無かった」。
・大西は、自由を率先するには、内なる良心によって自らを律する必要があり、この良心とは、「善悪正邪義務の観念弁判別に関するもの」である、また、社会を進歩させていくためには、適正な批評家の存在が不可欠であることを説いた。「進歩主義の率先者となる者は社会の不平家なり」。
・安部は、「体育が精神修養に大いなる感化を及ぼすことは誰も疑ふことは出来まい。体育の極致を言へば必ず知育及び徳育と併立すべきもので学問に鈍き者や品行の修まらぬものが第一流の運動家になれる筈がない。」と説いた。
・石橋が主導した自由思想協会の規約にある「先入見等の一切の束縛から離脱し、異説又は利害関係を異にする者の主張を寛容して冷静に判断し、総ての問題を現実の生活に即して思考する自由思想」は、大西の言う「良心」に他ならない。
・総括すると、早稲田が元来備えていた「自由な雰囲気」に、大西、安部などの同志社学派の転任等により寛容と自律を構成要素とする「自由な精神」が加わり、「精神」が「雰囲気」を下支えするようになったと見ることができる。今後の「自由の精神」の行方に期待したい。
4. 質疑応答
①同志社と早稲田を繋ぐ「自由の精神」を安部、大西が紡いでいき、伝えていったことはよく分かったが、源流となった新島の自由にはどのような背景があったのか。(早稲田大学野球部・日野愛郎部長)
→新島の「自由な精神」は、明治の当時にも残っていた封建制度への違和感を追及することから始まっており、これは米国留学での「一人で立つ」経験で確信になったと考える。(望月教授)
②新島、大西、安部、石橋がいう「自律」は、早稲田大学野球部では部訓の一つ「他人迷惑無用」に継承されていると考えるが、同志社大学野球部ではどのような形で継承されていると考えるか。(早稲田大学野球部・日野愛郎部長)
→「自律」は、練習メニューの組み立てを学生自身が考えるなど、われわれ同志社大学野球部にも底通している。(同志社大学野球部・坂玲哉主将)
③同志社大学の「自由な精神」に基づくグローバルな教育環境についてご教示願いたい。(稲門会・浅尾様)
→私は同志社国際高校の出身であるが、生徒の多様性・ダイバーシティに対応して、外国語による授業が行われていた。(同大野球部・山川愛実主務)
→野球部の関係で言うと、新島の米国での留学先であったアーモスト大学野球部と2014年に京田辺市の同志社大学野球部グラウンドで国際親善試合を行った実績があり、第2戦目として米国開催を模索して2019年に訪米したが、コロナ禍で中止になった。(同大野球部・岡田幸宏部長)
④私は早同の国内留学制度の第1期生で現早大総長の田中愛治先生のゼミに在籍していたが、「自由な精神」は同志社と早稲田に固有のものではなく、例えば、当時の英吉利法律学校など官立大学に対して他の私学などにも見られたのではないか。(同志社大学・飯田健法学部教授)
→政治学者・中江兆民が言ったように、「自由な精神」を標榜する学者の中にも自らこれを実践していない者も多くいた中で、同志社と早稲田は特にこれを実践する「雰囲気」があったと考える。(望月教授)
5. 同志社大学野球部岡田幸宏部長による閉会あいさつ 本年は、同志社創立150周年であるとともに、同志社カレッジソングの作詞を手掛けた建築家、宗教家、社会事業家、実業家・ウィリアム・メレル・ヴォーリズの在住地であった近江八幡市で明日の「同早定期野球戦復活第12戦」を開催できるのはまさに意義深いと考えている。同早両校の学生の健闘と交流の深化を期待したい。
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【早同定期野球戦復活第12戦レセプション】
記念講演会終了後の2025年3月22日(土)19時15分から同志社大学良心館食堂にて早同定期野球戦復活第12戦レセプションが開催されました。
進行は同志社大学野球部の太田博之副部長が務め、
1同志社大学岡田幸宏野球部長、早稲田大学日野愛郎野球部長あいさつ
2翌日の試合会場となる滋賀カローラスタジアム(近江八幡市立運動公園野球場)の施
設管理者である近江八幡市安田全男教育長による球場及び招待イベントの説明
3同志社スポーツユニオン会長兼同志社校友会理事藤原卓也様による乾杯
4早稲田大学野球部小澤周平主将、同志社大学野球部坂玲哉主将決意表明
5早稲田大学野球部小宮山悟監督、同志社大学野球部竹川智之監督あいさつ
6稲門倶楽部(早稲田大学野球部OB会)関口一行会長中締め
と進みました。
この日の時点では、早稲田大学野球部の小宮山監督から「この定期戦は負けてはならない試合であると認識しており、実際に私が監督に就任して以降は関西での定期戦では点を取られていない。また、明日の試合も先発はエースの伊藤樹投手で行く」とお話があったように、よもや翌日のゲームがあのような乱打戦になるとはレセプションに出席していた誰もが予想しておりませんでした。
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【早同定期野球戦復活第12戦】
前日の記念講演会「同志社と早稲田をつなぐ人々とその精神」及びレセプションを終えた翌日の2025年3月23日(日)、約1千名以上の観衆を集めたカローラ滋賀はちまんスタジアム(近江八幡市立運動公園野球場)にて、12時30分から開会セレモニーが、①両校校歌斉唱、②両校野球部長あいさつ、③近江八幡市長・小西理氏による始球式の次第で実施され、いよいよ13時00分ちょうどに試合がプレーボールされました。
同志社・橋本祐介(4年・浜田)、早稲田・伊藤樹(4年・仙台育英)の両先発投手
の好投により、3回裏まで両軍無得点で進んだ4回表の早稲田の攻撃で、3番小澤周平
主将(4・健大高崎)の右前安打、2盗3進後の捕逸で早稲田が1点を先制、続く5回表の早稲田の攻撃でも、9番伊藤の遊撃内野安打、2番渋谷泰生遊撃手(4年・静岡)の左前安打でつくった好機に、4番寺尾拳聖左翼手(3年・佐久長聖)の押し出し四球と5番前田健伸一塁手(4年・大阪桐蔭)の走者一掃の中越適時三塁打でW5-ODに。早稲田は、続く6回表の攻撃でも、7番石郷岡大成右翼手(4年・早稲田実)の左前安打、二盗、8番吉田瑞樹捕手(4年・浦和学院)の死球でつくった好機に、1番尾瀬雄大中堅手(4年・帝京)の適時中犠飛及び2番渋谷遊撃手の適時右越二塁打で2点を追加してW7-0Dに。続く6回裏の同志社の攻撃では、3番牧原優太中堅手(3年・東山)の中前ポテン安打、4番辻井心捕手(3年・京都国際)の右越二塁打の無死二三塁の好機で、5番濱野孝教(2年・敦賀気比)の二ゴロで1点、6番齋藤佑征三塁手(1年・報徳学園)の適時左越三塁打でさらに1点、代打中田爽太内野手(3年・西条陽)の一ゴロでさらに1点を返し、W7-3Dに。続く、7回裏の同志社の攻撃では、代打北田陸斗外野手(3年・天理)の二内野安打、1番大井海音右翼手(3年・浜田)の右前安打でつくった一死二三塁の好機に、3番牧原中堅手の適時左前安打で1点を追加し、W7-4Dに。最終の9回裏の同志社の攻撃では、この回から後退した早稲田の森山陽一朗投手(3年・広陵)に対し、9番北田外野手の三内野安打、1番大井右翼手の四球、代打中森暁大外野手(4年・大阪桐蔭)の死球でつくった一死満塁の好機に、4番辻井捕手の適時中前安打で2点を追加し、W7-6Dと1点差まで追い上げましたが、早稲田・森山投手が何とか後続を抑えて、W7-6Dでゲームセットし、定期戦復活後の通算の対戦成績を早稲田6勝・同志社2勝・1引分け(新型コロナ感染症の蔓延による中止3回を除く)となりました。
試合の終了後には、今回のホスト校である同志社大学野球部の岡田幸宏部長から優勝校の早稲田大学野球部の小澤周平主将に対して、昨年東京で行われた復活第11戦前に早稲田大学野球部安部寮で発見された「安部定期戦 早稲田大学 同志社大学 1968 寄贈 京都新聞社」と銘板に刻印されている伝統の優勝杯が授与され、最後は早同両校野球部関係者による集合記念撮影で両校の交流を深めました。
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【復活第12戦後の早同OB・校友交流会】
定期戦終了後の2025年3月23日(日)の18時00分からは、ホテル京阪・京都グランデの2階光琳の間において、「早同OB・校友交流会」が開催され、早同両校の野球部0Bと校友を合わせて約75名が参集しました。 試合後の移動ルートの名神高速道路の渋滞で、早同の野球部首脳等の会場への到着が遅れたため、司会の同志社大学野球部OB会の和歌清史さんの機転で、プログラムを一部変更し、
1. 同志社大学野球部岡田幸宏部長による開会あいさつ
2. 早稲田大学野球部北嶋晴輝主務(4年・早稲田佐賀)及び同志社大学野球部山川愛実主務(4年・同志社国際)によるこの2日間の行事の調整経過と振り返り
3. 早稲田大学京都校友会永島宣彦会長による乾杯
4. 歓談
まで進んだところで、早同の野球部首脳等の皆さんが到着され、ここから
5. 早稲田大学京都校友会奥田清副会長による再乾杯
6. 早稲田大学野球部日野愛郎部長あいさつ
7. 同志社大学政法会大槻哲彦会長によるこの日の定期戦の画像放映
8. 稲門倶楽部関西支部難波秀哉支部長のファシリテートによる早稲田大学野球部小宮山悟監督と同志社大学野球部竹川智之監督の試合の振り返り
9. 静岡県遠州稲門会・青島秀樹副会長のセンター指揮による早稲田大学校歌斉唱と同志社大学野球部OB会・大黒徹雄氏のセンター指揮による同志社カレッジソング斉唱
10. 稲門倶楽部関口一行会長及び同志社大学野球部OB会内田倫義副会長による中締め
と進みました。
7.の定期戦の振り返りでは、早稲田大学野球部の金森栄治助監督に続いて、同じPL学園高校出身で元プロ野球選手の同志社OB宮本慎也氏も登壇され、早同両校の野球部現役への期待を述べられました。
この2日間の行事はこの交流会をもって滞りなく終了しましたが、今後もこのような早同両校の深い歴史的なつながりに基づいた交流が永続するよう、まずは両校野球部の今年度のリーグ戦での健闘に期待するとともに、来年3月の東京での定期戦に多くの皆様が試合会場で再会できますことをお祈りします。
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